大袈裟に息をする。呼吸をするたびに視界が白み、余韻はいつまでも引いていかなかった。千摺りで己の猛りを鎮めようとしたことはあるが、自分ではこんなにも鮮烈な絶頂など味わうべくもない。未だにチカチカする目を瞬かせると、政宗殿は矢張りというべきか、笑っている。
「愛してる。」「はい。」
うわ言のようでもあったが、しかし確かに応えると、政宗殿はより強い力で抱いてくれた。もう一度口付けると、政宗殿は離れ様にニッと笑い、某の腕を解いてくれた。自由になった腕で政宗殿に寄り縋る。
「幸村、お前の体はあったかいな。」
ぽつり。政宗殿が低く呟くように言った。余計に顔が熱くなるのを感じながら、どう答えればいいのか言葉が見つからなかったので、逃げるように話題を探して失言をしてしまった。
「もう、仕舞いでござるか?」
言った瞬間政宗殿が黙り込んでしまったので怒らせてしまったのかと心配したのだが、それはどうやら心配の方向を間違えていたらしい。
「……。」
「政宗ど…っん!」
噛みつくような口付けを落とされ。
「ひぁっ…、や…ッ!」
指をいきなりに突き入れられ。
その間も政宗殿は終始無言で、けれど怒っているのかどうかを確かめるには思考が落ち着かなさすぎた。後孔へ杭を穿たれたような衝撃に漸く繋がった思考で、政宗殿が怒っているのでなく理性を失っているのだと知る。じりじりと痛む後ろは、けれど某にいっそ心地いい程の圧迫感をもたらした。心の臓はドクドクと鳴り、飛びそうになる意識は繋がっている部分から来る痛みとも快感ともつかない刺激だけで保っていた。不意に政宗殿の理性も戻ったらしく、低く掠れた声で痛くねえかと申し訳なさそうに言う。余りの感覚に飲まれながら改めてそう聞かれると、満たされる充足感は、それはもはや快楽だった。
「痛みなど、ありませぬ。政宗殿とならばどんなに破廉恥なことだって…ん、っく!」
そこまで言いかけて再び政宗殿が律動を始めた。言葉にならない声は恥ずべきものだったけれど、政宗殿に聞かれるならば、その時は、それで良いと思えた。二人とも理性など、疾くに手放していたのだろう。
後になって残ったのは、それが真実という証たる痛みと、戦さで首級を上げた後の、それにも勝る疲労感と満足感だった。肌で感じる政宗殿の体温。大風が通過する一連の高揚と満ち足りた疲労感。某は寡聞にして知らなかったこの気持ちを、戦さ働きよりも最上の幸せに分類した。