ダテサナ - 大一過 002

戦国バサラより伊達政宗×真田幸村
友人に宛てて書いた続き物です。


 結論から言うに、某は負けた。彼は確たる必要願望を持って仕合に挑んだが、某には彼をどうしたい、といったような欲望がなかった。彼をどうか出来るのは魅力的でも、どうしたいのかをあやふやなまま戦って某は負けた。地面に仰向けに倒れたままそう思い返す。
「流石にござりまするな。いつもと気合いが違っておりましたぞ。」
悔しさを堪えて笑うと政宗殿がまたあの挑戦的な笑みをして見せた。すべられた手を掴み立ち上がろうとしたのだが、すんでのところで政宗殿は掌を返した。慣用的な意味でなく、文字通り。某には訳もわからぬまま組み敷かれることになった。
「ま、政宗殿、」
「Sh...お前が負けたんだぜ仔犬ちゃんよう。男だろ、約束は守れ。」
指を立ててそう制した政宗殿の表情は、某の好きな笑みのはずなのに。

 どうしてか、悪い笑みに見えた。

「何を、」
言いかけて吸い込んだ息を結局は飲み下した。首筋にチクリと甘い痛み。それが破廉恥なものだと気付く前にもう一つ、更にひとつ。だんだんと首筋を上へと辿って、政宗殿の唇と某のそれが触れ合った。そこで初めてそれが接吻だと気付く。男と女が口を触れ合わせればそれで接吻だと思い込んでいたところに、政宗殿の弄るような舌遣いは刺激が強すぎた。くすぐったいような甘い感触と、目の醒めるような刺激が綯い交ぜになって脳の奥はじんと痺れる。
「は、ン……!」
その破廉恥な声は某が発したものだと気付き、見ると政宗殿は籠手の紐を銜えてニヤリと笑う。顔が熱くなるのを感じたが、間髪入れずそのまま籠手は外し去られる。上着もいつの間にか腕のところまでずらされて上半身が外気に晒された状態になるも、中途半端な位置に袖が絡み体の下敷きになった腕は動かずさしたる抵抗も出来ない。このまま自分が何をされるのか判然としなくても破廉恥なことだというのはわかる。どうしたものかと狼狽えていると政宗殿がぽつりと言った。
「厭か?」
その真摯な視線に、下半身へ切なさが収縮してふわりと広がる錯覚を感じた。某は政宗殿の情愛に甘えすぎていたのかもしれない。某が気付かずとも彼はずっと好いていてくれた。今こそ某が応えるときではないか、と自問し、自問して、恥ずかしくてせめて政宗殿の肩に顔をうずめることで自答とした。政宗殿はそれに満足そうに微笑んでもうひとつ額に口付けをくれた。
「愛してるぜ。」「お慕いしております。」
口膣とくちの接吻が再び、しばらくの間続いた。懸命に応えようと必死になって、政宗殿の手が下帯の中に入り込んでいることに気付かなかった。突然襲ってきたのは普段他人はおろか自分でも触れない場所への刺激。排泄のためだけにあると信じてきた後ろの孔を、確かめるように人差し指でトントンとつつかれる。怖くなって政宗殿の顔を仰ぎ見ると、優しい表情で笑って某を見ていた。先程自分に言い聞かせたように、じっと息を飲んで待つことにした。トントン、トントン。そうして待つとなると刺激は自然とより過敏に感じられて、恐怖心と伴に某の知らなかった劣情を煽る。それでも尚待つように、焦がれたように政宗殿の名を呟くと、ついにその指は中心に触れた。過敏に感じられてまだ更にありありと、指が触れる角度すらわかるほどに。
「そんなところ……、」
触れる指先は痛みを伴わない。いっそくすぐったいような快感さえ感じられて、それがいっそう不安を駆り立てた。
「幸村、引き返すなら今のうちだぜ。」







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